青梅日記

 

青梅日記

 

思いがけないクーデター

青梅市根ヶ布


3日ぶりに様子を見に行ってみると、ハチたちに異変が起こり始めていた

 

この前まで幼虫がたくさん詰まっていたトウヨウの巣は、

なぜか終齢2匹を残して殆ど幼虫が引き抜かれていた 

巣も所々無残に噛み千切られた痕がある

「これは外敵にやられたに違いない!」と思い、推察した

鳥にしては中途半端だし、やり口からして

スズメバチだろうということになった

暫く待ってみるとオオスズメバチの女王が、

近くのヒノキの根元にやってきて、どこかへ逃げていった

次の日、朝から待ち受けてみた

コガタスズメが近くまできたものの直ぐにどこかへ行ってしまう

「今度来たら捕まえてひねりつぶしてやろう!」と網を構えた

しかし一向に何も襲ってくる様子はない

そこで少し離れて見張ることにする

暫くして近づいてみると、幼虫が1匹に減っていた

「してやられた!」と思い、下に座って見上げることにした

それからちょっと用事があって戻ってみると、

働き蜂が、引き抜かれた幼虫を2匹で噛み砕いていた

そのときは事情が飲み込めなかったものの

少しして、これは働き蜂たちのクーデターであると理解できた

それは残った弱齢が見る間に消えていってしまうことでも証明された

どうやら女王に反旗を翻した働き蜂が居て、

そいつが幼虫をどんどん殺して棄てているのだ

思っても見ない展開だった

このときは首謀者は1匹かもしれないと思い、

1番それっぽいやつを1疋捕まえた

ピンセットで、羽を掴もうとしたら肢を掴んでしまい、

暴れまくって逃げたと思ったら額に体当たりしてきて、

思い切り刺されてしまった

そしてもう一度チャレンジして、何とか捕まえた

でも同じ個体でない可能性も高い

巣をかき乱されて皆猛烈に怒っていた

やっていて悲しくなってきた

 

あとで分かったこととして、反乱分子は複数居たようだ

他の巣から迷い込んだ働き蜂の可能性も考えたが、

多分私が以前他の巣から移した何匹かの働き蜂の可能性が高いと思う

青梅と藤野では遺伝的較差が大きかったのだろう

それで最初は従順に働いていたものの

何かを機に反逆に転じたのだろう

そういえば5日の時点で、もう餌を運んでくる働き蜂は居なかった

私が見なかった数日間に何か転機になるようなことが起こったのだ

私が新たに近くに移した母巣が原因かもしれない

結局反乱は食い止められず、繭を残して他の育房は空となってしまった

卵も殺されたようだ

そのうち繭も女王もどこかへ消えてしまい、5〜6匹の働き蜂と、

何もないボロボロの巣だけが残った(働き蜂による産卵はなかった)

それでも働き蜂は巣を守ろうと通るたびに威嚇してきた

いったい何を守ろうというのだろうか?

頭にきた私は何度この反乱分子どもに

殺虫剤をぶちまけてやりたいと思ったことか!本当に憎らしいー

しかし表向きは穏やかで何も反撃できなかった女王にも

不甲斐なさを感じる

「さようなら藤野の女王!」

 

 

この事件は巣の発展を何よりも楽しみにしていた私にとって

耐えがたいほどのショックとなった

日記の更新も暫くやる気がなくなった

近いうち女王の産卵シーンを銀塩で写す予定でもあった...

 

寄生されたムモンの巣

青梅市根ヶ布


前は気付かなかったが、

最初に造られた巣柄に近いところの幾室から

ヒメバチが多数羽化した痕跡が見える

道理で中々働き蜂が羽化しなかったわけだ

 

寄生部位

青梅市根ヶ布


寄生はこの巣がもともとあった藤野で行われたに違いない

単独営巣期のころだ

 

育室底部に寄生者の糞塊が見える

 

巣の様子をうかがう寄生者

青梅市根ヶ布


ヒメバチが巣に移ろうと機会をうかがっていた

ちゃんと写す機会は何度もあったはずなのに、

こんなのしか撮れなかった

一生の不覚!

これはチビアシナガバチ属に寄生することで知られている

Arthula属のヒメバチではないだろうか

 

枠内のヒメバチは巣の下に居たものだが、

どうやら別種らしい

とんだハチ違いだ...

 

寄主もこのハチの存在に気付いていて、

巣の周りを飛び交うパラサイトアラームを

盛んに何日間も繰り出していた

その後隣接したトウヨウの巣でも行われていた

 

キカマキリモドキ

青梅市根ヶ布


メスだろうか?

アシナガバチの巣の近くで夕方よく飛んでいる

昼間もっと小さいのが飛んでいた