青梅市長淵
渓流の水際をふと見ると、ジョウカイボンのよく太った終令幼虫が仰向けで浮いていた
きっと、石から落ちてしまったのだろう
ピンセットを近づけるとその先に丸まってきた
「冬にも活動するとは聞いていたが・・・」と思いつつピンセットを石の上に軽くおいて
クローズアップレンズを取り出して見ると、
ピンセットの先のジョウカイボンの姿は影も形も消えうせていた
「憎らしかー、せっかく写そうと思うとったとに!」
あたりを満遍なく探したもののまったく見付からない
このままでは歯切れが悪く帰る気がしないので、
何かそれに代わるめぼしい物は居ないかと片っ端から石をひっくり返した
すると間も無くその下を走る白い小さな虫を発見した
その生き物は恐ろしく速く、最初白いイシムカデのように見えた
然し、よく見るとどうやらこれは、生きている化石といわれる
翅や単眼の無いあの虫ではないかと思われた
写真を一枚写すと、少しして石が嵌っていた窪みの底の
土くれの中へ入っていってしまった
「バカめ! そっちは行き止まりだ」心の中でニヤリとしながら
底の土をほじり出してみると、居ないのである
どうやら此処はガレ場なので土の中に小さな石がたくさん詰まっていて、
隙間が無数に在るらしい その隙間に逃げ込んだようなのだ
少し無翅のカワゲラかとも思ったが(セッケイカワゲラとか)
矢張りガロアムシに違いない
こういう行動はなんとなく蟋蟀に似ている
とはいってもここまでの芸当は本家の蟋蟀にはちょっと無理に違いない
あのスレンダーな体と素早い動きで可能になったのだろう
だからこそ原始的でも生き残れたのだ
辺りははもう暗くなりかけていたが、何とか似たような条件のところから
他の2匹の個体をゲットすることが出来た
とはいっても余りに素早く柔らかいので一匹は半殺しで、
もう一匹は触角の先が片方切れてしまった
家に帰って調べてみるとやはりガロアムシだった
家から自転車で1時間一寸(ちょっと)の所に
こんな虫が住んでいたのは意外だった
青梅もなかなか捨てたものではない
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